2006年12月05日

O.J.シンプソンはなぜ無罪になったか―誤解されるアメリカ陪審制度 by 四宮 啓

O.J.シンプソンはなぜ無罪になったか―誤解されるアメリカ陪審制度
O.J.シンプソンはなぜ無罪になったか―誤解されるアメリカ陪審制度四宮 啓

おすすめ平均
starsドラマではなかなか知り得ないアメリカの裁判制度
starsこれでもシンプソンを有罪にできるというのか?! 陪審制に対する見方を変えてくれました。

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O.J.シンプソンはなぜ無罪になったか―誤解されるアメリカ陪審制度 by 四宮 啓


ポイント
●not guilty は、「無罪」ではない。
●陪審員制度の誤解。
●米国の訴訟の流れが学べる。
●米国の訴訟では、なぜ損害賠償金がとんでもない額になるのか。
●さまざまな訴訟用語が詳しい解説付きで学べる。


OJシンプソンの裁判のとき、ちょうど僕はアメリカにいた。

高速道路での逃走シーンの中継や、新聞の報道、
同僚の意見などから判断して、
当然、OJシンプソンは有罪だと思っていた。

だから無罪になったときには驚いた。
(無罪になってもほとんどの米国人は有罪だと思っていた。)
そして、その後、民事裁判で有罪になったのにも驚いた。
さらにその賠償金が何十億という、日本の常識から考えると、
とんでもない額であったことにも驚いた。
どうしてそんなことが起こるのか、ずっと疑問を抱いていた。

しかし、本書によってそのすべての謎がとけた。
そして、陪審員制度に対してかなり誤解していたことに気づいた。
本書を読めば、OJを有罪にはできないということが分かる。
米国の裁判の流れが非常に分かりやすく理解できる。
そして、米国の訴訟で賠償金がとんでもない額になる理由も分かった。

米国でニュースを見ると、訴訟の話が1日1回は必ず出てくる。
訴訟に関する単語を知っていても、それが本当に意味するところや、
裁判全体の流れが理解できていないと、本当の理解はできないのである。
しかし、本書を読めば、その流れや、それぞれのプロセスの意味が
明確に理解できる。

私たちは、英語で、guilty を「有罪」、not guilty を「無罪」と
訳しているが、これは本当はまちがった解釈であることも分かった。

そのことについて書いてある部分を引用してみよう。(ページ85)

刑事裁判の結論は2つしかない。検察官の立証に「合理的疑問はない」か
「合理的疑問が残る」かだ。「犯人だ」と「犯人ではない」ではない。
「合理的疑問はない」が有罪であり、「合理的疑問が残る」は無罪である。
しかし日本語でいう「無罪」にはどうしても「無罪=無実=犯人ではない」
というニュアンスがつきまとってしまう。しかし繰り返すが、刑事裁判で
いう「無罪」は、合理的疑問が残る結果「有罪とはいえない」ということ
である。もちろん「真っ白」という意味での無罪もあるだろう。
しかし、刑事裁判では、無罪推定の原則によって、すべての被告が等しく、
合理的な疑いを越えて有罪と証明されるまでは無罪と推定されるので、
検察官が立証に失敗した(つまり合理的な疑いが残る)という意味では、
「無罪」と「有罪とはいえない」とを区別しないのである。
英語の「ギルティー(Guilty有罪)と「ノット・ギルティー(Not Guilty 
有罪とはいえない)」という表現は、この点を正確に表している。 
(引用終わり)

また、米国の訴訟で賠償金がとんでもない額になる理由も分かった。
それは、日本と同じ普通の損害補償(補償的損害賠償 Compensatory
Damages)に加えて、懲罰的損害賠償(Punitive Damages)と呼ばれる別の
賠償金があるからだ。詳しくは本書を読んでほしい。

本書は、英語の勉強にもなる。さまざまな訴訟用語が詳しい解説突きで
学べるのである。(特に面白いと思ったのは、Jury Selection、
Voir Dire、Garbage in, garbage out、Jury Nullification など。)



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posted by ディビッド・ヒラキ at 12:24| Comment(1) | TrackBack(0) | メルマガより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ノット・ギルティー(Not Guilty 
有罪とはいえない)」についてですが、
日本にも「疑わしきは罰せず」と言う言葉が
あります。
Posted by アッキー at 2006年12月09日 17:33
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