2007年01月16日

不二家不祥事で学ぶ賞味期限

不二家が、賞味期限の切れた牛乳を使っていたかどで
袋叩きにされている。

ところで、「賞味期限」は英語で何というのだろうか?

実は、「賞味期限」といってもじつにさまざまな英語表現があるのだが、
今回、「賞味期限」を表す言葉としてもっともふさわしい言葉(一つだけ)
を、ベストオブ「賞味期限」として、独断と偏見で決定したいと思う。

まずは、アルク英辞郎のオンライン辞書で「賞味期限」を検索した。

(recommended) use-by date
best when used by date
eat-by freshness date
expiry date
minimum durability

さらに、こんな説明がある。

expiration date〈略〉Exp. date 
(「有効期限」の英語としては expiration date が圧倒的に使用頻度が
高く、次いで expiry date ; period of validity ; term of validity ;
expiring date となっている。)

そして、さらに、
賞味期限〔食品の〕
freshness date
賞味期限〔食品の〕
sell-by date〈英〉

ともある。

また、アルク英辞郎には記述がなかったが、パッケージなどには、
Best before 20070116 とか、Best before end of 2006 という表記も
見受けられる。

整理してみると、「賞味期限」を表す英語は次の通りとなる。

(recommended) use-by date
best when used by date
eat-by freshness date
minimum durability
expiration date
expiry date
period of validity
term of validity
expiring date
freshness date
sell-by date
best before

全部で12 候補となった。
この候補から、ベストオブ「賞味期限」、
つまり、「賞味期限」にもっともふさわしい言葉を決定したいと思う。


ここで、日本語の「賞味期限」の意味をしっかりつかんでおこう。
gooオンライン和英辞書で、「賞味」という言葉を検索した。

賞味 味わいながら食べること。 例)「旬の鮎を賞味する」


「賞味」の定義を、「味わいながら食べること」とすると、
「賞味期限」の定義は、「味わいながら食べられる期限」となる。

つまり、「賞味」というのは、実に「主観的」であいまいな言葉である。
「味わいながら食べられる」というのは、人によって違うからだ。

一方、gooオンライン和英辞書には、新語としての「賞味期限」の意味が
しっかり定義されている。

定められた方法で保存した場合,品質の保持が十分に可能であると
認められる期限。缶詰や乳製品など劣化の比較的遅い食品(品質が保たれる
期間がおおむね 5 日を超えるもの)に表示が義務づけられている。
〔実質同意味の JAS 法で定められた賞味期限と食品衛生法で定められた
品質保持期限があったが,消費者が混乱するなどの理由で,2003 年
(平成 15)賞味期限に統一された。2005 年 7 月までは猶予期間として
従来の表示も可能〕




非常に難しい…


一つ分かることは、法律によってしっかり客観的に定義づけしようと
努力していることだ。つまり、賞味という主観的であいまいな言葉を、
測定できる形で計測し、客観的に定めようとしている。

「品質の保持が十分に可能であると認められる」というのは、
実際のところ基準があいまいだが、それにもかかわらず、
なんらかの普遍的な基準を作り出そうという試みが感じられる。

つまり、これで分かることは、「賞味期限」には二つの捉え方があることだ。

人の判断によって、主観的に判断される賞味期限と、
客観的に測定されうる法的に定められた賞味期限だ。

この二つの賞味期限をここでは勝手に次のように命名しよう。

1)主観的賞味期限
2)客観的賞味期限


「新語」である、客観的賞味期限としての「賞味期限」は、
本来の「賞味期限」とは意味が違うと判断して、
ここでは、本来の「賞味期限」の意味は、「主観的賞味期限」と定める。

ここで英語に戻って、ベストオブ「賞味期限」を決定するべく、
候補者(言葉)をふるいにかけよう。

まず、「賞味」について考えるにあたり、食品に限定していない言葉は
落選させよう。

expiration date
expiry date
period of validity
term of validity
expiring date

以上は、「有効期限」としての一般語で、「賞味」の期限とは言えない。

(もちろん、賞味期限として使われるかもしれないが、
ベストオブ「賞味期限」には選べない。)

残った候補は…

(recommended) use-by date
best when used by date
eat-by freshness date
minimum durability
freshness date
sell-by date
best before

ここであらためて候補をよくみると、sell-by date というのがある。

これは辞書にはイギリス英語とあったが、アメリカでもよく使われている
はずだ。いずれにしろ、これは「販売期限」と訳されうる言葉であるから
して、ベストオブ「賞味期限」としてはふさわしくないので落選だ。

同様に、used-by date も然り。

したがって、(recommended) use-by dateと、
best when used by dateも落選。

そうすると残った候補は、

eat-by freshness date
minimum durability
freshness date
best before

minimum durability のdurability は「永続性」「耐久力」という意味だ。

この言葉は、客観的賞味期限として賞味期限を言い表そうとしている
ニュアンスがある。なにかある基準の試験に基づいて、その期限を
測ろうとする試みが感じられる。

実際、JAS 法でもこの言葉が使われているようだ。

よって落選。

とすると、残りは、

eat-by freshness date
freshness date
best before

3つになったが、独断で一つに決定させていただく。

ベストオブ「賞味期限」は、
ジャジャジャーン、freshness date に決定。


freshnessというのは、新鮮とか鮮度という意味である。

何が新鮮か、なんてことは、主観的であいまいである。

まあ、野菜などの鮮度に関しては、わりと意見が一致するかもしれないが、
缶詰やお菓子の鮮度に関しては意見が分かれるだろう。

よって、freshnessは、「賞味期限」のもつ本来のあいまいな意味を
もっともあらわしているのではないか。

ということで、ベストオブ「賞味期限」をfreshness dateに決定した。



ところで、最後にちょっと役に立つ考察をしよう。
(今までの話が役に立たないというわけではないが…)

sell-by dateというのも誤解を生みやすい言葉だ。

sell-by dateも「賞味期限」と訳されることもあるが、
そう訳してしまうと、誤解を生む可能性はないだろうか?



シアトルで売られている牛乳の表示を見てみよう。

シアトル生活ガイド 牛乳の種類
http://www.junglecity.com/ssg/living/milk.htm

Best if opened by sell-by date and used within 7 days.
販売期限日までに開封し、7日以内に消費するのが最適です。

これを見ると、sell-by dateは、あくまでも「販売期限」であり、
その後、7日間はOKなのである。

このsell-by dateを「賞味期限」と訳してしまうと、
買ってきたその日のうちに牛乳を飲みきらなくてはいけない気分に
なってしまう。

また、sell-by dateに開封して、その後7日間はOKなのだから、
sell-by date(販売期限)を過ぎたものを手に入れたとしても、
本当は差し支えないような気がする。少なくとも、7日間は。

今回の不二家の不祥事になった「賞味期限」は、
いったいどの意味での賞味期限だったのだろうか?


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ラベル:賞味期限
posted by ディビッド・ヒラキ at 12:50| Comment(1) | TrackBack(0) | メルマガより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここに書かれている表現の他に
(アルクの市販の教材にあったものですが)

"good until date"と言うのがありました。

確かにネイティブは
(つい先日もカナダ人がこう言っていましたが)
'expiration date'と言う事が多いようですね。

(でも商品に書いてあるのは
'best when used by date'や'best until...'
が多いような気がします)

それにしても

>Best if opened by sell-by date and used within 7 days.
>販売期限日までに開封し、7日以内に消費するのが最適です。

と書かれているなんて、びっくりです。

何しろ日本では
「開封後は賞味期限にかかわらず、出来るだけお早めにお召し上がり下さい」と書かれているのが普通ですから。

これから考えると、日本での賞味期限とは、正確に言うと
'open-by date'では?
…と思ってしまいましたがいかがでしょう?

(食べ物と言う感じがあまりしないのが難点で、ディビッドさんの'best of 「賞味期限」には選ばれないかもしれませんが(^_^.))

Posted by Yoshiko at 2007年01月16日 21:07
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